特に困っている業界は
日本では現在、さまざまな業界での人材不足解消が課題となっています。特に深刻なのが、運送業界、医療業界、介護業界です。人々の暮らしになくてはならない仕事ではありますが、それを維持していくだけの人手が十分には足りていないのが現状です。その原因はどこにあるのでしょうか。
インターネットの普及により圧迫される運送業界
近年では、直接店に出向かなくてもパソコンやスマートフォンなどで気軽にインターネットショッピングが楽しめるようになりました。利用者にとっては空いた時間に買い物をすることができなにかと便利ですが、その分国内全体の荷物が増え、人手の確保が間に合わない状況となっています。インターネットショッピングはこれからも増えていくことが予想されているので、人材不足の解消は運送業界にとって喫緊の課題と言えるでしょう。
また、ドライバー1人ひとりにかかる負担を軽減する工夫も必要です。最近ではCMなどでも目にするようになったコンビニエンスストアや駅などでの受け取りや、再配達を減らすための宅配ボックスの設置など、今後を見据えて既にさまざまな対策が取られはじめています。
新しい環境が必要な医療業界
少子高齢化は日本における大きな課題です。これに伴い医療の需要が増加していることから、医療業界の人材不足が懸念されています。もともと世界的に見ても日本の医療業界における人手は少なく、このままでは安心して医療を受けられる体制が維持できなくなってしまいます。
人材不足解消のために、現在さまざまな病院やクリニックでは潜在医師や看護師の復職を勧めています。これから医療業界を目指す若い人たちが働きやすい環境を整えていくだけでなく、結婚や出産などの事情によって一度現場を離れた人を雇用することによって、即戦力となり若手の育成にも一役買ってもらおうということです。一度離職したのには少なからず理由があるので、それをクリアしてまた医療に携わっていこうと思える就業環境を整えるのは簡単なことではありませんが、これからの人材不足の解消を考えるのならば必ず取り組んでいかなければならない課題と言えるでしょう。
慢性的な人材不足が深刻化する介護業界
医療業界と同じく、少子高齢化によって人材不足が深刻化していくのが介護業界です。実際に行われたある調査によると、事業所における人材不足の実感値も年々上昇している傾向にあるようです。介護業界の人材不足の原因は少子高齢化における介護需要の増加が大きなところではありますが、それ以外にも給与の不満や、仕事内容に関する社会的な認知の低さなどがあり、状況を改善していくためには多角的な視点で施策を講じていく必要があります。
既に行政は給与改善や奨学金制度、職場定着支援の助成金などを打ち出していますが、少子高齢化自体を解決できるわけではないので、定期的に状況を確認しその都度対応していく必要があるのです。