離職理由に注目してみる

人材不足に悩む業界は少なくありませんが、逆に十分に人手を確保できている業界もあります。なぜこのような違いが生まれるのでしょうか。ここでは「離職の理由」に注目して、その実情を紹介していきます。

離職理由に注目してみる

業界による有効求人倍率の開きが語るものとは

労働人口の減少により日本全体として人材不足が進んでいるように感じられますが、業界によってその度合いには違いがあります。
厚生労働省が2019年3月に発表した正社員の有効求人倍率を見てみると、2005年度以降で最も高い1.13倍となっています。これは求職者1人あたり1.13人分の求人があるということなので、正社員として働きたい・働いてほしいという双方のバランスはおよそ取れている状態と言っても良いでしょう。しかし業界別の状態を見てみると、建設工事に関わる職業の有効求人倍率は10.67倍、一般事務では0.38倍と、なんと約28倍の開きがあることがわかります。これは、求職者が求めている仕事と、人材を求めている企業との間に「雇用のミスマッチ」が生じていることを表しています。
仕事を選択する際には、大抵の人が職種だけでなく給与や勤務時間、転勤の有無など、さまざまな要素を考慮して決定することと思います。これは募集要項や面接時の会話でも得ることができる情報なので、この時点で自分の希望と合っていなければ他の求人を探すことになります。この段階で、言わば「人気のある仕事」「人気のない仕事」が分けられてしまうこともあります。

一度選択したのに辞めてしまう理由は

上記のように入職前に色々と情報を得て選択しても、ずっとそこで働き続ける人ばかりではありません。近年では、転職に対するイメージも変わり、自分に合う職場を求めて転職する人も少なくありません。自身の病気やケガ、家庭の事情などが理由の場合もありますが、そういった特殊なケースを除いた場合、離職・転職の理由にはどのようなものがあるのでしょうか。
まず挙げられるのは、労働時間などの待遇への不満です。いくら仕事の内容が魅力的だと言っても、長時間の勤務が続いたりなかなか休日を取ることができないとなると、体調や精神のバランスを崩してしまい、健康に働き続けることができなくなってしまいます。一昔前まではサービス残業や休日出勤など当たり前だというような風潮がありましたが、現在は違います。しっかり休日が取れるようにしたり、無駄な残業が発生しないような工夫をしている企業はたくさんあります。そんな中で未だブラックとも呼べるような環境で働いている人が、離職したいと感じるのに不思議はありません。
また、待遇だけでなく企業の将来性やキャリアアップの仕組みなど、働く上でのやりがいにつながっていく部分についても離職や転職の理由になっています。自身の成長や企業全体としてのチャレンジなど、日々の仕事に追われるだけでなくより良く働き続けたいという気持ちを持っている人が増えているようです。

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