働きやすさの改善が行われている

深刻化してく福祉・介護業界の人材不足を解決するために、行政や各事業所はさまざまな対策を行っています。なくてはならない仕事だからこそ、働きやすい、働き続けたいと感じられる環境整備が必要です。

働きやすさの改善が行われている

収入面での施策

2012年度の介護報酬改定で国は「介護職員処遇改善加算」という制度を設けました。介護職員の給与は介護報酬から支払われるため、例えたくさんの利用者がいる施設であっても、極端に給与が増えるようなことはまずありません。そこで、職員に対してキャリアアップの仕組みを提示したり職場の環境改善を行ったりした事業所に対して介護報酬を加算して支給し、その加算分を職員の給与に反映させようという目的でこの制度が設けられました。
しかしこれではまだまだ不十分であると感じている事業所も多かったため、2019年に「介護職員等特定処遇改善加算」が創設されました。これを取得するためには要件を満たす必要がありますが、勤続年数10年以上の介護福祉士を基本とした「リーダー級」の職員1人あたり月額8万円が支給されることとなりました。これをすべて当事者の給与とするのか、ルールを提示して他の職員にも恩恵があるように分配するのかは事業所によって違いがありますが、少しずつ収入面が改善されているのは事実のようです。

働きやすさへの工夫

改善が必要なのは、給与などの待遇面だけではありません。働きやすい環境を整備することで心身共に健康に働き続けることができ、離職率を下げることもできます。
従来の集団でのケアでは、スタッフが常に気を張ってすべての利用者を観察している必要がありました。また、それでも全員に目が届かなかったり、忙しさのあまり1人ひとりに十分なケアを行う事ができないという問題もありました。そこで導入されたのが「ユニットケア」です。10人程度を少人数の1ユニットとし、決まったスタッフがケアにあたるという方法です。ユニットケアならば異常をすぐに察知することができるばかりでなく、同じユニットのスタッフとコミュニケーションを取りながら自分のアイディアを実践していく比較的自由度の高いケアを行うことができます。集団でのケアよりもストレスの少ない働き方ができるようです。
また、利用者へのケア以外にも介護職員にはやるべきことがたくさんあります。多くの施設では行政への提出書類に記入する作業や、利用者の体調を記録する作業などを手書き又はエクセルで対応しています。これを毎日実施するとなると膨大な時間がかかり、このために残業が必要になることもあり大きな負担となっています。本来、一番時間を割きたいのは利用者と接する時間のはずですので、その他の業務についてはできるだけ効率化を図りたいところです。このニーズに応え、ITサービスを導入したりペーパーレス化を実践するなどして、環境改善に努めている事業所も現在は増えてきています。

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