これからの介護業界に求められること
これからの日本でさらに需要が拡大していくと予想されている介護職員ですが、ただ数を増やせば良いというものではありません。介護業界をもっとより良いものにし、介護サービスを提供する側も受ける側も安心して過ごせる環境を整えることが急務なのです。
あくまでも主体は利用者である
介護職に就いている人は皆、少なからず「利用者のために」という気持ちを持っているはずです。しかし、人材が少ない状況では1人ひとりの利用者に十分な時間を使うことができず、ジレンマを抱えている職員が多いようです。悩ましい状況ではありますが、だからと言って忙しいのだから仕方がないとあきらめてしまっては「利用者のために」という本来の目的から遠ざかっていってしまいます。
利用者の自立を支援したいという気持ちを忘れ、介護サービスが流れ作業になってしまえば、利用者からの信頼を失うだけでなく職員のやりがいも失われ、「介護」全体のイメージダウンにもつながります。そうなれば介護業界に飛び込んでみようと考える人も少なくなり、人材不足は加速し、さらに現場は忙しくなり介護の質は落ちていってしまうでしょう。
効率だけを重視するのではなく、介護サービスの本来の目的を大切にし「主体は利用者である」という目線を忘れないことが重要です。
リーダーの育成がポイント
信念を持って介護業界に飛び込んでも、残念ながら離職してしまう人もいます。利用者も介助を受ける際には気をつかうため、できれば慣れた人に続けてもらいたいと思っているので、頻繁に職員が変わるというのは介護の質を落とすことにもつながります。また、新人の育成にかかる時間や手間も少なくはないので、一度介護職に就いた人が長く安定して働き続けられる環境を整える必要があります。そのために現在さまざまな施策がなされていますが、その中でも優先するべきなのはリーダーの育成です。
以前の介護業界と現在の介護業界では、多くの違いがあります。しかし昔ながらの介護観・労働観を持ったリーダー級の職員もいるため、理想と信念を持って介護業界に飛び込んできた人が潰されてしまう場合があります。どんな業界でもそうですが、仕事を覚え、自分だけでは気が付かなかった視点を見つけるためには、尊敬できる先輩の力が必要です。そういった人材がいれば困難を一緒に乗り越えたり、新しいやりがいを見つけたりしながら仕事を続けていくことができるはずです。介護業界を魅力的な職場にするため、こういったリーダー級の職員の育成がポイントとなってくるのです。
変化し続ける介護業界
行政は介護職の担い手を増やすために多くの施策を行っています。これからも現場の声や世の中の状況を踏まえて、さらなる改善が行われることでしょう。世間一般での介護職に対するイメージも大きく変わりつつある今、働きやすい環境とキャリアアップの仕組みが整えられている介護業界は、転職や復職のチャンスと言えるでしょう。全くの未経験からでも取得が目指せる「介護職員初任者研修」のような資格もありますので、まずは一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。