福祉・介護人材の需要は高い
少子高齢化に伴い、福祉・介護の需要が拡大しています。当然このことは福祉・介護業界の人材不足と密接な関わりがありますが、その他にも人材不足の原因となっている、業界ならではの理由があるようです。
福祉・介護業界はどのくらい人材不足なのか
平成29年度の産業別入職率・離職率を見てみると、医療・福祉業界は入職率が16.3%、離職率が14.5%となっており、決して悪い数字ではないように見えます。また実際の人数を見てみると、平成26年にはおよそ271万人であった福祉・介護の担い手は、平成27年にはおよそ274万人、平成28年にはおよそ278万人となっており、毎年少しずつ増加していることがわかります。
しかし求人数を見てみると、パートを含む新規の求人が平成21年にはおよそ63万人であったのに対し、平成29年にはおよそ170万人となっており9年で約2.7倍にまで膨れ上がっています。つまり、入職者が少しずつ増えてはいるものの、需要には到底追いついていないのです。
拡大し続ける需要
現在日本では少子高齢化が加速し、福祉・介護の需要が拡大しています。平成30年4月時点での65歳以上の人口はおよそ3,538万人であり、前年同月と比べておよそ48万人も増加しています。今後もこの状況は加速し続け、高齢者が増えるのに反比例してそれを支える労働人口が減っていきます。福祉・介護の需要拡大に伴い、人材不足はさらに深刻化していくでしょう。
人材不足の理由は
福祉・介護の担い手は毎年少しずつ増加していることを紹介しましたが、それでも需要には到底追いついていません。その原因はどこにあるのでしょうか。
まずは、そもそも福祉・介護の仕事に就こうという人が少ないことが挙げられます。賃金の低さや労働環境の不備などがその理由になっているようです。昔のイメージと比べて福祉・介護業界の待遇はかなり改善されていますが、未だにあまり良くないイメージを持っている人もいるようです。福祉・介護の人材を早急に確保しなければならない事情から、さらに状況を改善していくために行政はさまざまな施策を実施・検討しています。
また、福祉・介護の仕事は未経験で資格がなくても始めることができますが、専門的な知識を必要とする場面も少なくないため、資格を持った人が必要となってきます。福祉・介護業界での国家資格は「介護福祉士」「社会福祉士」「精神保健福祉士」の3つがありますが、この資格を持っている人が離職してしまうと新たに代わりの人を探す必要があります。こういった有資格者が増えないことも、人材不足の原因となっています。